2008年04月15日

労働契約法 更新しました!

2008/4/7・15
第10条
 制定趣旨と参考にされた判例を掲載しました。

2008/4/2
第9条
 制定趣旨と参考にされた判例を掲載しました。

2008/3/26
第7条
 制定趣旨と参考にされた判例を掲載しました。

2008年03月11日

(目的)第1条

(目的)
第1条 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則及びその他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

(定義)第2条

(定義)
第2条 この法律において「労働者」とは、使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者をいう。

2 この法律において「使用者」とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。

(労働契約の原則)第3条

(労働契約の原則)
第3条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

(労働契約の内容の理解の促進)第4条

(労働契約の内容の理解の促進)
第4条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。

2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。

(労働者の安全への配慮)第5条

(労働者の安全への配慮)
第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 労働者の安全への配慮に関しては、これまで民法などの規定でも明らかになっておらず、判例において、労働契約の内容として具体的に定めていなくても、労働契約に伴い、信義則上、使用者は当然に、労働者を危険から保護するよう安全配慮義務を負っているとされています。
その点をこの第5条で規定し、この条に関しては、次の二つの判例が参考にされました。


◆ 自衛隊八戸車両整備工場損害賠償事件 ◆【最小判昭50・2・25】 
一、国は、国家公務員に対し、その公務遂行のための場所、施設若しくは器具等の設置管理又はその遂行する公務の管理にあたつて、国家公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負つているものと解すべきである。
二、国の安全配慮義務違背を理由とする国家公務員の国に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は、一〇年と解すべきである。

◆ 川義損害賠償事件 ◆【最小判昭59・4・10】

会社が、夜間においても、その社屋に高価な反物、毛皮等を多数開放的に陳列保管していながら、右社屋の夜間の出入口にのぞき窓やインターホンを設けていないため、宿直員においてくぐり戸を開けてみなければ来訪者が誰であるかを確かめることが困難であり、そのため来訪者が無理に押し入ることができる状態となり、これを利用して盗賊が侵入し宿直員に危害を加えることのあるのを予見しえたにもかかわらず、のぞき窓、インターホン、防犯チェーン等の盗賊防止のための物的設備を施さず、また、宿直員を新入社員一人としないで適宜増員するなどの措置を講じなかつたなど判示のような事実関係がある場合において、一人で宿直を命ぜられた新入社員がその勤務中にくぐり戸から押し入つた盗賊に殺害されたときは、会社は、右事故につき、安全配慮義務に違背したものとして損害賠償責任を負うものというべきである。

(労働契約の成立)第6条

(労働契約の成立)
第6条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

第7条

第7条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

 労働現場では、個別に締結される労働契約では詳細な労働条件は定められず、就業規則によって統一的に労働条件を設定することが広く行われていますが、労働契約の成立場面における就業規則と労働契約との法的関係についてを第7条で規定し、この条に関しては、次の4つの判例が参考にされました。

◆ 秋北バス事件 ◆【最大判昭43・12・25】

一、使用者が、あらたな就業規則の作成または変更によつて、労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないが、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されないと解すべきである。

二、従来停年制のなかつた主任以上の職にある被用者に対して、使用者会社がその就業規則であらたに55歳の停年制を定めた場合において、同会社の般職種の被用者の停年が50歳と定められており、また、右改正にかかる規則条項において、被解雇者に対する再雇用の特則が設けられ、同条項を一律に適用することによつて生ずる苛酷な結果を緩和する途が講ぜられている等判示の事情があるときは、右改正条項は、同条項の改正後ただちにその適用によつて解雇されることに上なる被用者に対しても、その同意の有無にかかわらず、効力を有するものと解すべきである。

三、就業規則は、当該事業場内での社会的規範であるだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、法的規範としての性質を認められるに至つているものと解すべきである。

◆ 電電公社帯広局事件 ◆【最小判昭61・3・13】

 健康診断受診を拒否した労働者に対して、懲戒処分を行った事案で、秋北バス事件の最高裁判決の考え方を踏襲し、就業規則上の労働者の健康管理上の義務は合理的であり、労働契約の内容となっているとし、健康診断の受診拒否は懲戒事由に当たり懲戒処分は有効とされた。

◆ 日立製作所武蔵工場事件 ◆【最小判平3・11・28】

 使用者が、労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)36条所定の書面による協定を締結し、これを所轄労働基準監督署長に届け出た場合において、当該事業場に適用される就業規則に右協定の範囲内で一定の業務土の事由があれば労働契約に定める労働時間を延長して時間外労働をさせることができる旨を定めているときは、当該就業規則の規定の内容が合理的なものである限り、労働者は、その定めるところに従い、労働契約に定める労働時間を超えて時間外労働をする義務を負う。

◆ フジ興産事件 ◆【最小判平15・10・10】

 就業規則に基づき労働者を懲戒解雇したが、懲戒事由に該当するとされた労働者の行為の時点では就業規則は周知されていなかった事例で、就業規則が拘束力を生ずるためには、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業所の労働者に周知される手続が取られていることを要するとし、懲戒解雇を有効とした原審を破棄し、差し戻した。

(労働契約の内容の変更)第8条

(労働契約の内容の変更)
第8条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

(就業規則による労働契約の内容の変更)第9条

(就業規則による労働契約の内容の変更)
第9条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

 労働現場では、就業規則によって労働条件を統一的に設定し、労働条件の変更も就業規則の変更によることが広く行われていますが、その際、就業規則の変更により自由に労働条件を変更することが出来るとの使用者の誤解や、就業規則の変更による労働条件の変更に関する個別労使紛争も起こっていることから、使用者は就業規則の変更によって一方的に労働契約の内容である労働条件を労働者の不利益に変更できないこと確認的に規定しており、この条に関しては、次の判例が参考にされました。

◆ 秋北バス事件 ◆【最大判昭43・12・25】

一、使用者が、あらたな就業規則の作成または変更によつて、労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないが、当該規則条項が合理的なものであるかぎり、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されないと解すべきである。

二、従来停年制のなかつた主任以上の職にある被用者に対して、使用者会社がその就業規則であらたに55歳の停年制を定めた場合において、同会社の般職種の被用者の停年が50歳と定められており、また、右改正にかかる規則条項において、被解雇者に対する再雇用の特則が設けられ、同条項を一律に適用することによつて生ずる苛酷な結果を緩和する途が講ぜられている等判示の事情があるときは、右改正条項は、同条項の改正後ただちにその適用によつて解雇されることに上なる被用者に対しても、その同意の有無にかかわらず、効力を有するものと解すべきである。

三、就業規則は、当該事業場内での社会的規範であるだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、法的規範としての性質を認められるに至つているものと解すべきである。

第10条

第10条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

 労働現場では、就業規則によって労働条件を統一的に設定し、労働条件の変更も就業規則の変更によることが広く行われていますが、その際、就業規則の変更により自由に労働条件を変更することが出来るとの使用者の誤解や、就業規則の変更による労働条件の変更に関する個別労使紛争も起こっていることから、就業規則の変更によって労働契約の内容である労働条件が変更後の就業規則に定めるところによるものとされる場合をこの条で明らかにし、この条に関しては、次の判例が参考にされました。

【就業規則の変更の効力に関する裁判例】

◆ 大曲農業協同組合事件 ◆【最小判昭63・2・16】

 農業協同組合の合併に伴つて新たに作成された退職給与規程の退職金支給倍率の定めが一つの旧組合の支給倍率を低減するものであつても、それによる不利益は退職金額算定の基礎となる基本月俸が合併後増額された結果軽減される一方、右支給倍率の低減が、合併前に右組合のみが県農業協同組合中央会の退職金支給倍率適正化の指導・勧告に従わなかつたため他の合併当事組合との間に生じた退職金水準の格差を是正する必要上とられた措置であるなど判示の事情があるときは、右退職給与規程の退職金支給倍率の定めは、合理性があるものとして有効である。


◆ 第四銀行事件 ◆【最小判平9・2・28】

 銀行が、就業規則を変更し、55歳から60歳への定年延長及びこれに伴う55歳以降の労働条件を定めた場合において、従前は、勤務に耐える健康状態にある男子行員が希望すれば58歳までの定年後在職制度の適用を受けることができるという事実上の運用がされており、右変更により、定年後在職者が58歳まで勤務して得ることを期待することができた賃金等の額を60歳定年近くまで勤務しなければ得ることができなくなるなど、その労働条件が実質的に不利益に変更されるとしても、右変更は、当時60歳定年制の実現が社会的にも強く要請されている一方、定年延長に伴う賃金水準等の見直しの必要性も高いという状況の中で、行員の約90パーセントで組織されている労働組合からの提案を受け、交渉、合意を経て労働協約を締結した上で行われたものであり、従前の五五歳以降の労働条件は既得の権利とまではいえず、変更後の就業規則に基づく賃金水準は他行や社会一般の水準と比較してかなり高いなど判示の事情の下では、右就業規則の変更は、不利益緩和のための経過措置がなくても、合理的な内容のものであると認めることができないものではなく、右変更の一年半後に55歳を迎える男子行員に対しても効力を生ずる。


◆ みちのく銀行事件 ◆【最小判平12・9・7】

 労組(従業員の73%が加入)の同意を得て行われた賃金制度が見直され、特定に労働者が管理職の肩書きを失い、賃金を減額された事例で、第四銀行事件までの最高裁判決の考え方を踏襲し、就業規則の変更は合理的なものということはできず、就業規則変更のうち賃金減額の効果を有する部分は、不利益を受ける労働者らにその効力を及ぼすことができない。


◆ フジ興産事件 ◆【最小判平15・10・10】

 就業規則に基づき労働者を懲戒解雇したが、懲戒事由に該当するとされた労働者の行為の時点では就業規則は周知されていなかった事例で、就業規則が拘束力を生ずるためには、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業所の労働者に周知される手続が取られていることを要するとし、懲戒解雇を有効とした原審を破棄し、差し戻した。

(就業規則の変更に係る手続)第11条

(就業規則の変更に係る手続)
第11条 就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条の定めるところによる。

(就業規則違反の労働契約)第12条

(就業規則違反の労働契約)
第12条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

(法令及び労働協約と就業規則との関係)第13条

(法令及び労働協約と就業規則との関係)
第13条 就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第7条、第10条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。

(出向)第14条

(出向)
第14条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

(懲戒)第15条

(懲戒)
第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

(解雇)第16条

(解雇)
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

《行政通達 昭和24年9月21日基収2751 昭和26年8月9日基発3388 平成15年10月22日基発1022001 など 》

◆ 趣旨 ◆
 解雇が労働者に与える影響の重大性や、解雇に関する紛争が増大している現状に鑑み、解雇に関するルールをあらかじめ明確にすることにより、解雇に際して発生するトラブルを防止し、その解決を図ることを目的として、最高裁判所判決で確立しているいわゆる解雇権乱用法理を、法律に明記することとした。

◆ 短期の契約の反復更新 ◆
 形式的な労働契約が更新されても、短期の契約を数回にわたって更新し、かつ同一作業のに引き続き従事させる場合は、実質において期間の定めのない契約と同一に取り扱うべきものであるから、法第21条第2号に該当するものではない。
☆この様な場合の、契約の更新は形式的なものであり、実質的には期間の定めのない契約と変わらないことになりますから、この条の適用があります。☆ 

◆ 定年制 ◆
 就業規則に定めた定年制が、労働者の定年に達した日の翌日をもって、その雇用契約は自動的に終了する旨を定めたことが明らかであり、かつ、従来この規定に基づいて定年に達した場合は、当然雇用関係が消滅する慣行となっていって、それが労働者にも徹底している限り、解雇の問題は生じない。    
☆しかし気を付けなければならいのは、定年後引き続き継続雇用されるという慣行があり、特定の労働者だけを継続雇用しないということになったら、定年による退職ではなく、解雇の問題が発生してきます。☆   

◇ 参考判例 ◇ 
 日本食塩製造事件 最高裁小判昭50・4・25
 労働組合から除名された労働者に対し使用者がユニオン・ショップ協定に基づく労働組合に対する義務の履行として行う解雇は、右除名が無効な場合には、他に解雇の合理性を裏づける特段の事由がないかぎり、無効である。
 使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である。

第17条

第17条 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
2 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

(船員に関する特例)第18条

(船員に関する特例)
第18条 第12条及び前条の規定は、船員法(昭和22年法律第100号)の適用を受ける船員(次項において「船員」という。)に関しては、適用しない。
2 船員に関しては、第7条中「第12条」とあるのは「船員法(昭和22年法律第100号)第100条」と、第10条中「第12条」とあるのは「船員法第100条」と、第11条中「労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条及び第90条」とあるのは「船員法第97条及び第98条」と、第13条中「前条」とあるのは「船員法第100条」とする。

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